三菱商事(株)

・企業概要

 国内外のネットワークを通じて、生活、モビリティ・インフラ、エネルギー・電力といった各種産業分野において、川上の天然資源開発から川中での多種多様な商品の売買や製造、川下でのコンシューマー向け商品・サービスの提供を行うほか、金融・物流事業といったサービス分野を含めて全産業を俯瞰する総合力を活かした新しいビジネスモデルや新技術の事業化、新たなサービスの開発・提供など、広範な分野で多角的に事業を展開している。 当社はこれらの事業を、取扱商品又はサービスの内容に応じて複数の営業グループに区分しており、それぞれの事業は、当社の各事業部門及びその直轄の関係会社(連結子会社 1,265社、持分法適用会社 456社)により推進している。

・経営環境

 当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受ける。 エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が影響を受けることとなる。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなる。 また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになる。

・従業員の状況

 従業員数5,725人・平均年齢42.7歳・平均勤続年数18年5か月・平均年収1,678万円

・特記事項・不祥事件等

 シンガポールの石油関連子会社の元社員が社内規定に違反したデリバティブ取引を繰り返した上、損失が社内で認識できなくなるような操作を繰り返していた。三菱商事はこの元社員の一連の取引によって総額で約3億2千万ドル(約345億円)の損失が発生し、子会社は元社員を解雇、刑事告訴した。

伊藤忠商事(株)

・企業概要

 多種多様な商品のトレーディング、ファイナンス、物流及びプロジェクト案件の企画・調整等を行う他、資源開発投資・事業投資等の実行を通して各種機能・ノウハウ等を保有する。これらの総合力を活かし、幅広い業界及びグローバルなネットワークを通じて、8つのディビジョンカンパニーが、繊維や食料、住生活、情報・金融等の生活消費分野、機械や化学品、石油製品、鉄鋼製品等の基礎産業分野、そして金属資源、エネルギー資源等の資源分野において、多角的な事業活動を展開している。

・経営環境

 中国経済の回復が続き、米国でも大型追加経済対策の効果が期待されるものの、当面は欧州や新興国の一部を中心に新型コロナウイルス感染の厳しい状況が続く他、ワクチンの有効性や供給等にも不確実性が残ることから、世界経済はなおしばらくの間、緩慢なペースでの持直しに止まると考えられる。日本経済も、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めが掛かる兆しが見えておらず、回復の遅れが懸念される。 そのようなもとで、ドル・円相場は概ね横ばいで推移、原油価格は主要産油国による生産量の回復が見込まれるため、上値余地は限られると考えられる。

・従業員の状況

 従業員数4,215人・平均年齢42.0歳・平均勤続年数17年11か月・平均年収1,627万円

・特記事項・不祥事件等

不正会計疑惑:2016年7月27日、米国の投資ファンドであるグラウカス・リサーチ・グループ(Glaucus Research Group California, LLC.)は、伊藤忠商事の会計処理に不正があり株価が50%下落すると主張するレポートを出した。これに対し伊藤忠商事は反論の文書を開示した。その後株価は10%程度下げたものの不正は立証されず、1ヶ月後には上昇に転じる。同時に行っていた空売りで利益を出そうとしていたグラウカス・リサーチ・グループの計画は失敗した。

 中国スパイ事件:2018年に中国の国家安全局に拘束され、起訴されていた40代の男性社員に対し、現地広州市の中級人民法院(地裁)が2019年11月15日、「中国の安全に危害を与えた罪(国家機密情報窃盗罪)」で懲役3年の実刑判決と財産没収15万元(約230万円)を言い渡されたことが外務省により判明。日中の関係筋によると、判決では「公的機関の内部情報を違法に入手した」と認定され、伊藤忠商事社員の被告男性は上訴はせず、実刑判決が確定。これに対して伊藤忠商事は「関係する皆様にご心配をおかけし、申し訳ありません。」などのコメントを発表。

(株)みずほ銀行

・企業概要

 個人、中堅中小企業、大企業、金融・公共法人ならびに海外の日系・非日系企業を主要な顧客とし、銀行業務、その他の金融サービスに係る事業を行う。  

・経営環境

 世界経済は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により大きく落ち込んだ後、持ち直しの動きが続いているが、足もとでは一部の地域における変異株の蔓延が回復の足かせとなっている。  米国経済は、感染拡大を受け失業率が急上昇したが、経済活動の再開に伴い、雇用環境は改善している。FOMC(米連邦公開市場委員会)は金融緩和を継続する姿勢を示し、経済の下支えをしているほか、大規模な追加景気対策による押し上げ効果も期待されている。また、ワクチン接種の進展等もあり、新規感染者数は減少傾向にあるが、依然として高水準で推移しており、先行きの不透明感は拭い切れない。

 欧州では、強力なロックダウンにより消費や生産活動が急激に収縮したが、経済活動の再開により景気は底打ちの動きが見られる。また、英・EU間のFTA自由貿易協定)交渉が妥結しブレグジットの経済への悪影響は限定的となる見込み。しかし、感染の再拡大やそれに伴うロックダウンの再実施などにより、経済活動の停滞が続いており、景気の先行き懸念は残存している。

 アジアでは、中国においてインフラ投資主導の回復が続いたほか、雇用や所得環境の改善から個人消費も復調しており、民需は持ち直しに向かっている。しかし、米中対立は継続しており、貿易等をめぐる先行きの不確実性は依然として高い状況。新興国では、一部の国で感染が再拡大し、経済の下押し圧力になっている。また、感染が抑制されている国においても、貿易・観光依存度の高い国や財政出動余地の低い国の経済への悪影響は継続している。

 日本経済は、感染拡大を受けた経済活動の制約によって大幅に落ち込んだ後、消費や輸出を中心に持ち直しの動きが続いたが、足もとの感染再拡大により、一部に弱さが見られる。政府・日本銀行による政策対応もあり、失業率の上昇や企業倒産件数は抑制されているが、サービス関連消費の落ち込みは避けられず、景気回復の重石となっている。

 世界経済の先行きは、ワクチンの普及及び各国の金融緩和や財政出動による下支えを背景に緩やかに回復していく見込み。ただし、ワクチンの普及が順調に進まない場合、経済活動の制約が継続し雇用や所得の悪化を通じた需要の更なる縮小が懸念される。日本経済についても、景気の低迷が長期化し、累積的に大きな負の影響が生じる可能性がある。

・従業員数の状況

 従業員数2,7659人・平均年齢38.1歳・平均勤続年数14.5年・平均年収729万円

・特記事項・不祥事件等

 みずほ銀行暴力団融資事件:オリエントコーポレーション(オリコ)の商品である販売提携ローン(キャプティブローン)を通じて、融資金融機関であるみずほ銀行が反社会的勢力である暴力団に対して融資を行っていた不祥事。 当該事項を処罰する法律が存在しないため立件されていないが、その後の調査で行内での怠慢や金融庁に対して件数を過少報告するなど隠蔽工作を図ったことが発覚し、金融庁から業務改善命令発令と行内首脳陣の退陣に追い込まれた。