伊藤忠商事(株)

・企業概要

 多種多様な商品のトレーディング、ファイナンス、物流及びプロジェクト案件の企画・調整等を行う他、資源開発投資・事業投資等の実行を通して各種機能・ノウハウ等を保有する。これらの総合力を活かし、幅広い業界及びグローバルなネットワークを通じて、8つのディビジョンカンパニーが、繊維や食料、住生活、情報・金融等の生活消費分野、機械や化学品、石油製品、鉄鋼製品等の基礎産業分野、そして金属資源、エネルギー資源等の資源分野において、多角的な事業活動を展開している。

・経営環境

 中国経済の回復が続き、米国でも大型追加経済対策の効果が期待されるものの、当面は欧州や新興国の一部を中心に新型コロナウイルス感染の厳しい状況が続く他、ワクチンの有効性や供給等にも不確実性が残ることから、世界経済はなおしばらくの間、緩慢なペースでの持直しに止まると考えられる。日本経済も、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めが掛かる兆しが見えておらず、回復の遅れが懸念される。 そのようなもとで、ドル・円相場は概ね横ばいで推移、原油価格は主要産油国による生産量の回復が見込まれるため、上値余地は限られると考えられる。

・従業員の状況

 従業員数4,215人・平均年齢42.0歳・平均勤続年数17年11か月・平均年収1,627万円

・特記事項・不祥事件等

不正会計疑惑:2016年7月27日、米国の投資ファンドであるグラウカス・リサーチ・グループ(Glaucus Research Group California, LLC.)は、伊藤忠商事の会計処理に不正があり株価が50%下落すると主張するレポートを出した。これに対し伊藤忠商事は反論の文書を開示した。その後株価は10%程度下げたものの不正は立証されず、1ヶ月後には上昇に転じる。同時に行っていた空売りで利益を出そうとしていたグラウカス・リサーチ・グループの計画は失敗した。

 中国スパイ事件:2018年に中国の国家安全局に拘束され、起訴されていた40代の男性社員に対し、現地広州市の中級人民法院(地裁)が2019年11月15日、「中国の安全に危害を与えた罪(国家機密情報窃盗罪)」で懲役3年の実刑判決と財産没収15万元(約230万円)を言い渡されたことが外務省により判明。日中の関係筋によると、判決では「公的機関の内部情報を違法に入手した」と認定され、伊藤忠商事社員の被告男性は上訴はせず、実刑判決が確定。これに対して伊藤忠商事は「関係する皆様にご心配をおかけし、申し訳ありません。」などのコメントを発表。